2010年7月15日木曜日

部屋の音は変化する - 6 床について 1


欧米の家庭でピアノの音を聴くと日本の家庭で聴くよりなんとなくすっきり聴こえる様な気がします。湿度のせい、広さのせい、天井の高さの為? 等いろいろかんがえられますが、床の感触も違うようです。

この連載の第1回でも触れましたが、アーデンの低音を締まった音にするためには置き方、置き場所等についてかなりの年月をかけて試行錯誤を続けました。スピーカを床に直に置いていては良い音は得られませんでした。

この時の経験から、床に直に置いたタンノイの音が締まらずに膨らみめの音となる原因は、そもそもタンノイが締りのないスピーカなのか、床に原因があるのか? との疑問がわいてきました。常識的には世界中で長い年月にわたり使い続けられているスピーカに問題があるというのは考えにくいと思われます。 と、なると、日本のユーザがタンノイの音が締まらないというのは、日本の一般的な住宅の構造が原因ではないかと考えられないこともありません。

日本は東南アジアのモンスーン地帯に位置するため、高温、多湿な風土に適応した住居である写真の様な高床式住居の影響を受けた、床と地面の間に風が通る床構造の住宅が一般的です( 縄文時代、弥生時代はいわゆる土間式の床だったようですが)。

生活という面ではこの床構造は日本の風土に合っていると言えそうです。

この構造では床は支柱により空中に浮いていることになりますので、床は振動することとなります。 ところで、西洋で開発された楽器であるピアノとか、当店で採用したスピーカであるタンノイ・オートグラフ・ミレニアムの様なスピーカは高床式住居で使用されることを想定しているとは思えませんので、今回の店舗の建築に当たっては欧米式の床下に空間の無い土間式を採用することにしました。

湿気は大丈夫でしょうか? 冬季の床からの底冷えは大丈夫でしょうか? 土間式の場合は基礎の仕上げが波打っていたりすると修正がききませんから、腕の良い職人さんに施行してもらえるでしょうか? 等不安がありますが、チャレンジしてみることにしました。

採用した構造、工事の様子等を次回から紹介させていただきます。

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