2010年11月29日月曜日

フィリップスのクラシックの名盤 4 ロッシーニ 弦楽ソナタ アッカルド他



★ サルバドーレ・アッカルド : バイオリン
★ シルビー・ガゾー     :バイオリン
★ アラン・ムニエ      :チェロ
★ フランコ・ペトラッキ   :コントラバス
の四名により1978年10月に録音された ロッシーニ 弦楽ソナタです。

写真では良く分かりませんが二枚入りのLPセットの箱(当時のフィリップスの素晴らしい出来の箱に入っています)の下の方に ORIGINAL VERSION との記載がされています。

現在ではこの曲はかなり人気があり色々な演奏でのCDが発売されていますが、発売当時は珍しい曲の部類でした。 私はこの曲が好きで、今回紹介させていただく盤を購入する以前は:

●ルイ・オーリアコンブ指揮 トウルーズ室内管弦楽団
●クラウディオ・シモーネ指揮 イ・ソリスティ・べネティ

等の弦楽合奏でのレコードを良く聴いていました。

この演奏のLPを始めて聞いた時はその音色、演奏のテンポ、アクセントの付け方等が今まで聴いていた演奏と大変ことなり、その素晴らしい演奏に加え、録音(あるいは盤の音作り)の良さにびっくりしました。

この曲はロッシーニが僅か12才の時(1804年)にラヴェンナで作曲したものであるという事ですから、驚きです-世の中には天才がいると感じ入ります。

オランダ盤のLPに付属されている シカゴ大学のPHILIP GOSETT氏 の解説書には;

このロッシーニの最も良く知られた器楽曲、四重奏のための六曲のソナタはこのレコードで聴けるような、もともとの楽器編成である、バイオリン2, チェロ、コントラバス、で演奏されることはめったになく弦楽四重奏、弦楽合奏、管楽四重奏等用の編曲が多数存在する。ワシントンの国会図書館には四つの手書きのパート譜が存在しており、そのタイトルページにはロッシーニが1804年にラベンナで12才の時に作曲たと明記されている。その後、この楽譜はロッシーニの手に戻り、後に以下の素晴らしい書き込みが自著させれている。

"私の友人ありパトロンであった Agostio Triossi の田舎の別荘で私が通奏低音のレッスンさえ受ける前の極めて若いころに作曲した ”horrendous - 形]((略式))恐ろしい, ものすごい;〈価格などが〉法外な" な第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、チェロ、コントラバスの用のパート譜。 このパート譜は全て三日間で作曲、写譜されTrossiのコントラバス、Morini (Trossiの従兄)の第一ヴァイオリン、MoriniのBrotherのチェロ、私の第二バイオリンでひどい演奏をした。本当を言えば私の演奏が一番ましだった。”

というわけで、作曲された時の編成で演奏しているのとことで ”ORIGINAL VERSION ”とのコメントをあえて記載したものと思われます。

曲、演奏、録音、プレス、ジャケットデザイン等全てにおいて素晴らしいレコードです。また、タンノイでの再生もピッタリといった感じです。

2010年11月19日金曜日

フィリップスのクラシックの名盤 3 イタリア弦楽四重奏団(Quartetto Italiano)のモーツァルトの弦楽四重奏曲全集



イタリア弦楽四重奏団の明るく、良く歌い、力強く、音楽を楽しく聴かせる演奏を大変気に入っています。 モーツアルトの弦楽四重奏は如何にも彼らの演奏といった素晴らしいもので、全曲を聞いてみないわけにはいかないと思わせる魅力を持っています。

イタリア弦楽四重奏団は第二次世界大戦が終了した1945年(昭和20年)に二十台前半の若手の演奏者によって設立された演奏団体で上の写真の様に、男性三名、女性一名という編成でいずれ劣らぬ美男、美女の四人組です。

室内楽の団体というと、くるくるメンバーが変わるのが一般的で、レコード愛好家は、同じ団体でも、ある時期のメンバーでの演奏を集めるという例が多い様ですが、イタリア弦楽四重奏団は1947年から1977年まで、メンバーの変動がなく、ハイドン、ベートーベンの録音等も安心して楽しめます。

この時期のオランダプレスのフィリップスのLP盤は高域が特に鮮明で伸びている音作りをしており、小型のシステムで聴くと高い音がうるさく聞こえることがありますが、オーディオ装置の質の向上とともに、音の素晴らしさが分かってくるといった音作りをしているように私には思われます。

2010年11月15日月曜日

フィリップスのクラシックの名盤 2






カタログの続きです。コリン・デイヴィス、アルテュール・グリュミオー、ハインツ・ホリガー、イ・ムジチ 等の演奏家、演奏団体が掲載されています。

ちなみに1972年時点でのこれらの演奏家の年齢を調べてみると、以下になります(かっこ内は誕生年)

★ボザール・トリオの ピアノのメナヘム・プレスラー :49歳(1923)
★アルフレッド・ブレンデル :41歳(1931)
★サルヴァトーレ・アッカルド :31歳(1941)
★コリン・デイヴィス :45歳 (1927)
★アルテュール・グリュミオー :51歳(1921)
★ハインツ・ホリガー :33歳 (1939)
★イタリア弦楽四重奏団のバイオリンのパオロ・ボルチャーニ :50歳( 1922 ) 

ご覧のように、以上の様な名手たちが、若手~働き盛りといった年齢で1970年から1980年にかけてPhillipsに数々の名盤を残してくれ、私たちは名曲、名演奏を今でも楽しむことができます。 時期的にはCDが出る直前、LPとしては(アナログ録音としても)最後の時期に当たります。

これらの演奏は現在、その多くがCDで聴くことができますが、古くからのレコード・ファンとしては当時のLPで聴くのも楽しみの一つです。

2010年11月12日金曜日

フィリップスのクラシックの名盤 1






良い製品、良い作品は芸術品、工業製品等に限らず、ある時期に集中的に作られる例が多い様です。LPレコードで言えば当ブログで紹介させていただいた1950年代末から1960年代初めのRCAの Living Stereo のシリーズとか、同時期の 英国DECCA の一連のレコード、Blue Note,
Prestige,Riverdside等のJazz レーベルの最盛期等が頭に浮かびます。

良いレコードの制作には、販売会社の方針、企画する人のセンス、演奏家、録音担当者、レコード化する際の音作り、ジャケットのデザイン、販売の見込み等様々な要素が高いレベルで合うという、めったにない条件が必要の様です。

私の愛聴盤である1972年プレスの刻印のあるオランダでプレスされたイタリア弦楽四重奏団(Quartetto Italiano)のモーツァルトの弦楽四重奏曲全集の箱にはLPサイズの当時のフィリップスのクラシック・レコードの立派なカタログが同封されており、写真の様に;

ボザール・トリオ
アルフレッド・ブレンデル
サルヴァトーレ・アッカルド

等がまさに現役バリバリでフィリップスに録音していたのが分かります。
これから数回にわたり、当店所有のこのころのフィリップスのレコードで気に入ったものを紹介させていただく予定です。