2009年9月17日木曜日

当店のLPコレクションから-3




1回目がウインナワルツでしたので、今回はウイーンの演奏ということで、ウイーン八重奏団によるモーツアルトとミハエル・ハイドンの喜遊曲です。

当店にはこのレコードが3枚(二種類)あります。一枚は英国Deccaで1963年に米国向けに製造された盤をキングレコードが輸入し日本語の解説書をつけて販売したもので、小林利之氏によるLPジャケットサイズ4ページの解説がついているものです。 ジャケットの裏面には The Decca Record Company,London     Exclusive U.S. Agents, London Records Inc. New York 1, N.Y. の表示があります。

ステレオ初期の盤のため懐かしいFFSSの表示(必ずステレオ・レコード用に設計された装置をご使用くださいの注意書き付)の中袋に入っています。

二枚目は一枚目と同じで米国で販売された盤。 もうひとつはキングレコードによりプレスされ1979年に発売された盤です-ザルツブルク ゲトライデ通りの看板のジャケットのものです。

私は以前からDeccaプレス盤を聴いており、キングレコードから発売された時は雑誌、新聞での評判が良かったためすぐに購入し、しばらく聴いていましたが、恥ずかしながらかなりの間、キングレコードから発売された盤は私が聴きなれたDecca盤とは違う音源と思っていました-それほど音楽のたたずまいに差があります-どちらが良いか?というものでもありませんが。

ご参考までに英国で発売された盤はLondonレーベルがDeccaとなり、ジャケットのくすんだ緑色の部分が紺色となっています。

Deccaのブランドを日本と米国(等?)ではビング・クロスビー等でおなじみの英国DECCAとは別の会社が所有していたため、Londonのブランドで英国DECCAのLPが販売されていました。

演奏はまさにウイーンの伝統を感じさせる素晴らしいものです。

曲目はモーツアルトの喜遊曲(ディヴェルトメント) 第15番 K.287とミハエル・ハイドンの喜遊曲 ト長調です。

英国で印刷されたジャケットの裏の解説に ミハエル・ハイドンの喜遊曲 ト長調について、ミハエル・ハイドン(ヨーゼフ・ハイドンの弟)の紹介に加え、曲の簡単な解説と共に It was discovered in the British Museum and edited by distinguished double-base player of Vienna Octet, Professor Krump とありますので、この曲はこのレコードでコントラバスを演奏している Johann Krumpが大英博物館で発見、編集したものの様です。

1960年代初めの録音と思われ(Deccaのもっとも良かったころ?)、演奏メンバーは以下のとおり、ウイーンフィルの当時の名手達です。

Anton Fietz & Phillip Matheis -バイオリン
Gunther Breitenbach ―ビオラ
Nikolaus Hibner -チェロ
Johann Krump - コントラバス
Josef Veleba & Wolfgang Tombock - ホルン

蛇足ながら自称、このレコードの再生にはタンノイがぴったりといった感じです。

50年も前の名演奏を生々しく楽しめるのはオーディオならではの音楽の楽しみです。

2009年9月10日木曜日

当店のLPコレクションから - 2








2回目は当店のジャズのLPのコレクションから「モダン・ジャズ・カルテット - MJQ 」の「たそがれのヴェニス」を紹介させていただきます。

名曲、名演奏、名録音と三拍子そろったレコードは意外と数が少ないように思いますが、このレコードはその中の一枚と考えられます。
日本プレスのレコードに付属の解説書には録音は1957年8月23日と書かれていますので、ステレオレコードの販売開始以前ということになります。

話がそれますが、当店のコレクションの中にAudio Fidelity Record社のステレオ・レコードがありジャケット裏面の右下に Audio Fidelity Records produced and released the 'world's first Stereophonic High Fidelity record (Stereodisc) in November,1957. との記載があります。

となるとこのレコードは最初のステレオレコードが発売される三カ月前に録音されたこととなります。

非常に有名なレコードなので、音楽、演奏については、色々なころで紹介されていますので - インターネット上にもこのレコードについて多くのコメントがでています - ここではこのレコードについて私が気がついた点を述べさせていただきます。

このレコードは部屋を含めたオーディオ装置のグレードが上がる度に新たな感動と呼ぶレコードです。
約45年前にそこそこのオーディオ装置を聴きだしてから、ずーとこのレコードを聴いていますが、装置を変えるたびに音楽が変わり新たな感動がえられるので、そのたびに何度も聴き返すということになります。

前回のLP紹介で”ビオラとコントラバスの刻むウインナワルツ独特のリズム”のことを書きましたが、このレコードの再生では非常に繊細な演奏をしているコニー・ケイの打楽器と一見控え目なパーシー・ヒースのベースの音の再生が難しく、再生装置のグレードが上がるほどピアノ、ヴィブラホンとの合奏の良さが際立ってくると感じています。

このレコードのもう一つの特異な点はレコードのプレスによって音楽が大きく変わることです-他のレコードでもそうですが、このレコードは特に顕著です。そんなわけで約10種類のプレスの違う(と思われる)レコードを所有していますが、当店には五種類ほど置いてあります。

写真は当店所有のアトランティックでプレスされた二種類の盤のジャケットとレーベルです。

緑と青の間にATLANTICと記載のある盤のスタンパー番号は1面が11433-C(STA-の表示はありません), 2面がSTA-11434-F,緑と赤の間にATLANTICと記載のある盤のスタンパー番号は1面が STA-11433-C, 2面がSTA-11434-Gですので異なるスタンパーをつかっているのが分かります。

当店の緑と青のラベルの盤では緑と赤の盤よりややおとなしい感じの演奏になります。

蛇足ながらジャケットに使われているターナーの絵は私がニューヨークを訪れた時にはメトロポリタン美術館に展示されていました-かなり大きな絵で色の印象はジャケットの印刷よりかなり淡い茶色でした。

2009年9月3日木曜日

当店のLPコレクションから - 1




約50年にわたってLPレコードを集めてきました。自分でレコードを買い始めたのは1961年ころからですので、既にステレオLPの時代でした。

始めにご紹介するのは 1960年12月28~30日に録音された”古きよきウィーンの調べです"。
このレコードの録音時期を考えてみてもレコード音楽のもっとも良かった時代にレコードを聴く楽しみ始めることができた私は幸せものだと思っています。

演奏は;
アレキサンダー・シュナイダー --- バイオリン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC

フェリックス・ガリミール ----- バイオリン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%AB

ポール・ウォルフ ------ バイオリン
http://www.tourdates.co.uk/paul-wolfe

ワルター・トランプラー ----- ヴィオラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC

ジュリアス・レヴィン ------ コントラバス
http://www.nytimes.com/2003/04/06/nyregion/julius-levine-81-a-bassist-and-chamber-music-coach.html

の5名といずれも名手ぞろいです。

特にトランプラーとレビンがウインナワルツ独特のリズムをビオラとコントラバスで刻んでいるのがなんとも素晴らしいといわれています。

曲目は;
ワルツ「ウィーン気質」(J.シュトラウス)
ワルツ「わが生涯は愛と喜び」(ヨーゼフ・シュトラウス)
ドルンバッハのレントラー(ランナー)
ワルツ「ロマンティカー」(ランナー)
ティロルのレントラー(ランナー)
ワルツ「ウィーンのボンボン」(ヨハン・シュトラウス)
で、音楽の楽しみを心から味わえると思います。


私は気に入ったレコードは何種類ものプレスで買うことがあります。というのもプレスによって音(音楽)が大きくことなることがあるからです。

このレコードも国内プレス、輸入盤を含め数種類持っていますが、コロンビアの廉価版のODYSSEYのプレス盤が一番気に入っています。
ところがODYSSEY盤にも色々のプレスがあるようで私も持っているODYSSY盤には写真のようにレーベルに鳩のマークがあるものとないものがあり、原版番号は同じなのでスタンパーは同一かと思われますが音は大きく異なり、鳩のマーク付のレコードからは演奏する楽しさがより多く伝わってきます。いずれも善し悪しは別としてもCDとは異なるLPの音です。

ご来店の際はぜひお聴きいだたければと思います。