2009年12月11日金曜日

EL156PP 60Wx2 UL Power Amp (1)



夢の真空管 845とEL156

私がオーディオに興味を持ち始めた1960年代には家庭用オーディオアンプの出力管に三極管が使用されることはほとんどなくなっており、NECの6RA8を使用したラックスのSQ38, その後NECの50CA10を使用したSQ38Fのみが一般に(高価ではありましたが)入手できる製品ではなかったかと思います。

当時のオーディオ雑誌 ”初歩のラジオ”のカラー配線図を掲載した制作例を参考に山水のトランスを使用して6RA8 PPのアンプを作ったのが懐かしく思いだされます。三極管では2A3は伝説の、300Bは夢の、845は噂に聞く、夢のまた夢の出力管でした。

近代管では6BQ5あたりが手の届く範囲であり、マランツで使用していた6CA7を使用するのは予算的にも大チャレンジ、マッキントッシュに使用されていたKT-88は夢、LPレコードのカッティング・マシンに使用されているとのうわさのEL156を使うなど、夢のまた夢でした。

いつかは845をという夢は当店で使用中の上田 順筰氏設計、制作(シャーシの設計製作は店主)を2002年に実現しましたので(詳細はMJ誌 2003年5月号に掲載)、次はEL156をということになりました。

上は1958年10月の記載のあるノイマンのステレオディスク・カッターヘッド Type ZS 95/45のパンプレットに記載されていた図です、TELEFUNKEN-DECCA との表示があるので、この2社と共同開発されたものかとも思われます。下はこのカッター・ヘッドに使用されるアンプについての部分で 2 x EL156 60Wと記載されています。 カルーショーが活躍していた頃のDECCAの名盤の数々がEL156でカッティングされていたのではないかと思うと、再生もEL156でとの感が強まります。

ノイマンのカッティング・マシンの歴史については以下

http://www.neumann.com/?lang=en&id=about_us_history_part_4 

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